陽の者による陰の者攻略法～夏編～

学校生活において、クラスのイケてるグループ(陽の者)とイケてないグループ(陰の者)の仲が必要以上に悪いことが多々あります。
しかし、険悪さのピークは小学校から中学校辺りではなかったでしょうか。

もちろんゼロになることはありませんが、高校生にもなると学生達にも社会性や倫理観、あるいは単純な損得勘定などを持つようになり、「敵対しても意味ないな…」といった結論を出していきます。
高校卒業して大学や専門学校に行くと自分のコミュニティを作り始め、社会に出ると自分のことで精一杯になってしまう。
他人への興味が薄れていくことが人間にとっての成長に繋がるんですね。

さて
学生達が少しだけ大人になった頃、新たに台頭してくる新勢力が出現します。
それは陰を懐柔する陽の者と、陽に取り入る陰の者。
人間関係の価値観がフラットになったことにより、よそのシマを攻略して自分の味方を増やす新時代の強者が誕生するのです。

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新勢力の強さは陰と陽の境界線を突破できる能力にあります。
所属部署が違う相手にも不快感を感じさせずに仲良くなり、あわよくば好感度を上げていく様は鬼の如し。
さらには陰と陽の両方から支持を得ることで、信用を担保としたリーダーシップを発揮することができるのです。

学生時代に皆から慕われていた生徒が社会に出ても活躍することが多いのは、上記のような活動の経験値によって人間力がレベルアップした影響があり、前時代に取り残された普通の陰と陽は社会に出てからレベル差で死にます。

私は陰の者として多くの陽を観察し、新時代の後も上手くやっている陽の者が共通して行っている技を見つけました。
暖かい時期にしか使用できない上に男同士にしか効かないという欠点はあり、さらに陽から陰への一方通行でしか使用できない技ですが、要件を満たした陽の者が使用すれば確実に陰キャの好感度を上げることができます。
今回はこの必殺技を皆さんにお教えしましょう。

それは汗をかいた時に汗拭き用のフェイスシートやボディシートを陰の者に施すことなのです！！！

………なんかガッカリしました？
いや凄いんですってこれ本当に！陰の者に効果抜群なんですよ！！
今からこの技がいかに理にかなっているのかを説明します！

f:id:KAI777:20190911191339j:plain — 陽の神器

①互いに人権を認め合えた気がする
陰キャというのは基本的に陽キャと会話する機会が少なく、必要に駆られなければ話さないということも多いかと思います。自分もそうなら相手もそう、という思考から陽キャも自分と進んで話したくはないだろうと邪推します。
そこで陽の者が何気なく汗拭き用のフェイスシートなどを渡した場合、陰の者が汗をかく生身の人間であると認識されていることを実感し、「価値観の違う人間に認められる」という快感を得ることになります。

価値観の違う相手を認めるという精神的成長段階は、主に競争や恋愛などの経験や、先輩後輩の上下関係などで学ぶことが多いのですが、陰の世界では陽の世界よりも上記のイベントが少ないので純粋なまま成長していく事が多々あります。
なので逆に、陽の者のフェイスシートみたいなところからキッカケを掴んで精神的成長を得る事が結構あるのです。
フェイスシート一枚渡したことで、一皮剥けた陰の者が肩を持ってくれることがあるかもしれませんよ。役に立つかは別として。

②20円程度の価値があるコミュニケーション
一般的な汗拭きフェイスシートの価格はおよそ20-30円/1枚です。大容量パックならもう少し安いかもしれませんが、持ち運びの小さいパックならこのぐらいが妥当でしょう。
価格・量・使い切り用品という共通点から、汗拭きフェイスシートは煙草に近いんですよね。フェイスシートの施しは貰い煙草と似たようなモノなんですよ。
未成年のクリーンな貰い煙草文化こそがフェイスシートの施しなのです。

仲の良い喫煙家同士では自然と行う貰い煙草ですが、もちろん煙草一本だって決してタダではありません。
見知らぬ人にはあげませんし、欲しいとせがまれても嫌いな奴には渡しません。中には貰い煙草乞食のような人種もいるので、そういう手合いにも注意が必要になります。

これを念頭に置いた上でフェイスシートの施しを考えてみてください。
20円ほどの使い切り用品を無償提供する行為は、調度いい塩梅な信頼関係の証なのです。ベタベタくっつく相手ではないけれど、20円分ぐらいにはコミュニケーションの価値があると思われる事こそが陰の者に効くんですよ。こうかはばつぐんだ！
まずは20円分の先行投資を、陰の者に与えてみては如何か。

③清潔感のある人間
清潔感、大事ですよね。心と体が大人になっていくと清潔感というステータス重要度が異常に高くなっていきます。
小学校ぐらいまでは清潔感なんて気にせず汗だくで走り回っていたのに、中学生になると途端に小綺麗になっていく現象は、当時置いて行かれた人間としては異様でした。入学デビューや夏休みデビューした人間をバカにする風潮がありますが、デビューする機会を逃した人間こそ一番惨めなので、とりあえず周りに流されてデビューした後に失敗するべきだったと今なら思います。
若い頃は失敗しろ、みたいな格言の意味がアラサーになって染みる。

この清潔感という奴は何とも捉えどころが難しく、毎日風呂に入っているからと言って清潔感が保たれるわけではありません。
じゃあ基準は何だよというと「清潔そうな奴が纏っている雰囲気」であり、衣服・髪型・装飾などがパブリックな場所に出ても恥ずかしくない水準を満たしていることが条件となります。
健康ランドにいる作務衣姿のおっちゃん達は清潔であるけれども清潔感は無いということですね。

陰の者たちもある程度の年齢になると清潔感という見えない敵と戦うこととなり、使い慣れないワックス相手に悪戦苦闘していきます。本当は何がいいのか良く分かってないのに、上手く言葉にできない清潔感を求めてワックスで手をベタベタにするのです。
一通り髪の毛がこねくり回された後、「もしかして整髪料って少量でいいのでは？」という答えに辿り着くまでの時間は人によって違うでしょう。

清潔感の境地に辿りついた後、彼らに待っているご褒美は汗拭きフェイスシートの施しです。
フェイスシートは不必要な人間に渡す必要はありません。汗をかいたら清潔感が損なわれることを理解し、なおかつそれを気にしそうな人間にのみ施されるのです。

フェイスシートを貰った者は、今までワックスで手をベタベタさせていた時間は無駄じゃなかったことを理解し、シートをくれた相手に感謝の気持ち言葉を発するでしょう。自分の努力が報われた証を、人は簡単に捨てません。
ここで施す側に回ったら強いですよ。

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以上が汗拭きシートの力です。
もし貴方が陽の者であるならば、出先でフェイスシートを渡し合うことや、体育の授業後にボディシートを交換することもあるでしょう。
その時に近くにいる陰の者にも一枚渡せるかどうかが陽カリスマになれるかどうかの境界です。
最初は恥ずかしいかもしれませんが、後の為だと思って言ってみましょう。

「おいオタク、お前も使うか？」