プール監視員バイトで出会った変態おじさん達のサマーウォーズ

金が欲しい!でも頑張りたくない!
という欲望に忠実な学生がこぞってGoogleに『バイト 楽勝』と検索し、インターネットを信じて痛い目を見るという事象は古今東西で発生します。
私も例に漏れず大学生時代は頑張らなくてもいいバイトをネットで必死に探していました。その労力と時間でお金稼げばよかったのに。

 

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そんなネットの楽なバイト界隈では有名なプールの監視員バイトをやっていた時期が私にもありました。
私は労働全般が今も昔も大嫌いなのですが、このプール監視員バイトは楽な上に刺激的で面白かったです。
今回は私の体験したプール監視員バイトの仕事と、その最中に観察した変態おじさん達の生き様について書いていきます。
プールの監視員やってみたいよー興味あるよーって人は是非参考にしてください。

 

 

 

 


通常業務について

プール監視員の仕事は大雑把に分けて「プール運営の雑務」「プールの監視」「変態おじさん対応業務」の3つに分かれています。
各仕事の内容としては

 

 

・プール運営の雑務
時間のアナウンスとコース変更などの仕事や、お客様の案内を行います。居酒屋のホールスタッフのようにお客様から質問やヘルプを求められるので、それに随時対応していく感じでしょうか。
私のいた施設ではウォータースライダーもあったので、スライダーの合図を出す仕事なども持ち回りでありました。(スライダーは追突の危険性がある為、監視員の管理の元行わなければならない)
夜ならば施設の閉め作業やトイレ掃除などもありますね。

 

 

・プールの監視
雑務以外の時間はひたすらプールの監視をしています。監視と言っても突っ立っているだけなのですけど。
溺れている人や危険行為をしている人がいないかを見守る仕事なので、トラブルが無ければ施設内の音楽を聴きながらぼーっと立っているだけで終わります。
たまにプール内に落とし物でゴーグルや水着(!?)が落ちていたりするから見つけ次第潜って拾うのもあります。

 

 

・変態おじさん対応業務
文字通り、水着姿の女性をエッチな目で見ている変態おじさんの対応を考える業務です。
基本の対応は情報共有。監視員は全員トランシーバーを着用しているので、無線で変態おじさんの特徴や位置情報などをやり取りします。
会話としては

 

監視員A「今ゲートから入ってきた黄色キャップのおじさんは変態です。注意してください。」
監視員B「了解です」
監視員C「了解です」
監視員D「了解です」

 

といった感じで情報を共有します。
自分が別の業務で目を離しても他の誰かが必ず見ている状態を構築し続けていくフォーメーション。

 

 

変態おじさんは常習犯が非常に多いので各スタッフの脳内ブラックリストに次々と登録されていくのですが、初見の変態おじさんも独断と偏見で監視します。
よく刑事ドラマで犯人に当たりをつける行為を刑事のカンと表現しますが、我々プール監視員も変態に当たりをつけて粗を探したりします。刑事のカンよりも良く当たるのが困りものですが。

 

 

変態おじさんの情報共有後は監視員全員で睨みを効かせ「見てるぞアピール」をお見舞いします。これで大体の変態おじさんは怖がって真面目に泳ぎます。
それでも止まらない場合は近寄ってみたり声をかけたりハンドシグナルで×マークを作ったりしてプレッシャーを最大まで上げていきます。
これでも止まらなかったら話し合いです。話し合いに発展した変態おじさんを見つけたら“強者”だな、と思いましょう。

 

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仕事の割合としては雑務:監視:変態3:5:2ぐらいで、雑務と変態対応以外の時間をプール監視に当てているといったところです。
もちろん日によって忙しさは変わってくるので、監視が8割の楽勝な日もあれば変態が8割の最低な日もあります。
特に小学校が夏休みに入ってからの10-16時は変態のゴールデンタイムだったので、シフトによって仕事内容も変わりましたね。夕方から夜は競泳やダイエット目的の大人ばかりなので手間がかからず楽でした。

 

 

 

 


変態おじさん図鑑

 

先述した変態おじさんはとにかく数が多く、監視員と目が合っただけでビビる小物を含めたらかなりのものになるでしょう。
ですが、変態おじさん達は滅多に法を犯さないという共通点が存在します。女性を眺めるとか追いかけるとかワザとぶつかったりはするのですが、直接的な行為には絶対に走りません。
捕まってしまっては今後も楽しめませんからね、来年も活動するためにギリギリのところで抑え込んでいるのでしょう。直情型より理性のある変態が比較的多いです。

 


そんな変態おじさん達の中でも、一際異彩を放っていたおじさん達が数人いました。

バイト終わって5年以上経った今でも忘れられない彼らの個性を紹介しようと思います。

 

 

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・カメレオンおじさん
プール監視員がトランシーバーで変態おじさん情報を共有していることは前述しましたが、玄人おじさんになると私達の警戒を逆に観察した上で掻い潜ってきます。
プール監視員が情報交換を行う際に水着やキャップなどの特徴を共有することを逆手に取り、スイムキャップを二種類持ち込むのです。


入場時は派手な黄色を被ることで監視員全員に「黄色キャップのおじさんは変態です」という刷り込みをさせた後、地味な紺色のキャップに切り替えることでこちらの包囲を出し抜くことに成功しました。

 

 

キャップを切り替えた瞬間は誰にも気づかれず、この件に関しては監視員側の敗北で終了。
まぁカメレオンおじさんは顔がとてもイヤらしいタイプの変態おじさんだったので別案件の変態として情報共有されたのですが、バイトの一人が「このおじさん……さっき黄色キャップ被ってなかった?」と発言するまで本当に誰も気が付けませんでした。
この件から変態の世界にも作戦勝ちという言葉があることを知ることができます。

 

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・ステルスおじさん
小学校などが夏休みに入ると昼間の子供客が大量に訪れます。
私のいた施設では25mプールと50mプールがあったのですが、夏休みの昼間は子供の為に25mプールの水位を下げてコースロープを取り外していました。これでコースを気にせず縦横無尽に泳げるようになるのです。

 

 

ですがもちろん、数が増えて縦横無尽に動き回るのは子供だけではありません。今まで以上に変態おじさんの動きが活性化します。
繁忙期の対策としてはとにかく監視員を増やして、子供の対応をしながら変態への監視が途切れないように厳戒態勢を敷くこと。多い時は25mプールを8-10人ぐらいで囲んでいました。

 

 

この変態おじさん一匹逃さない厳戒態勢に対するアンサーを出したのがステルスおじさんです。
彼は潜水のプロで、1分以上も平気で潜りながら小学生たちを水中で眺め、息継ぎ時も息を荒立たせずにすぐ次の潜水に移ることが可能な水中強者。
素潜りでアワビを獲る尼さんと同じような技術を持ちながらも、それを性欲を満たすためにしか使っていない男は数少ないでしょう。


私も昔はスイミングスクールに通っていたので泳ぎには少し自信があったのですが、ステルスおじさんの潜水能力は目を見張るものがありました。恐らく私が本気で練習してもあの領域に辿り着けません。

 

 

普段はレーン毎にコースロープで区切られているので泳ぐ方向は一方通行なので、潜水して誰かを眺めているような奴がいれば監視員に一発でバレます。
ですが繁忙期はコースロープ無しの自由遊泳、おまけに子供たちがはしゃぎまくっている状態。監視員8人でも変態一人が潜水していることに気がつくことは叶いませんでした。

地上からだと水の中ってわかりにくいですしね。

 


シフト交代で入ってきた9人目の監視員が偶々ステルスおじさんの顔を覚えており、「えっ!?あの潜ってるおじさんって変態でしょ!?」という一声からようやく存在を認識することができました。
監視員に顔を覚えられるほどプールに通っていたのが敗因です。

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・赤ブーメランおじさん
名前の通り赤いブーメランパンツの水着を着用したおじさん。
基本的に泳がずプールサイドのビーチチェアで寝っ転がってるだけなので無害なのですが、赤いブーメランパンツがスケベという理由で監視員からマークされていた男です。
女性をイヤらしい目で見ていた訳でもないので、本当に見た目だけで要注意人物扱いをされていました。

 


私も一応は情報共有していましたが、彼が本当に変態だったのか未だにわかりません
それでも公共の場でスケベな赤ブーメランを穿くのは変態行動と見做されるので、皆さんもTPOを弁えましょう。

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・スイミングおじさん
変態おじさんが愛でるのは子供だけではなく、本気で泳ぎに来ている大人の女性だって対象です。
ただし流石に相手が大人となると警戒心も強くなるので大きな活動は不可能になります。せいぜい遠くからジッと眺めたり、ジャグジーに一緒に入ったりするくらいなもの。
基本的に変態おじさんは強い大人に勝てません。

 

 

そんな中で台頭してきたのがスイミングおじさん。
彼は夕方~夜の50mを主戦場とし、本気で泳ぐタイプの女性にストーキング活動を行います。
女性を追いかけるタイプの変態は定期的に発生するので、私達も見つけ次第見てるよアピール等で止めたりするのですが、スイミングおじさんは水中でのストーキング活動をしていました。
要は泳いでいる女性の後ろをずっと泳ぎ続けるのです。

 

 

 

本来ストーキング系のおじさんは陸で活動します。でないと相手の体を観察することができませんので。
ですがスイミングおじさんは水中でストーキング活動を行っており、女性の泳ぎについていくことに執着を持っていました。
これは大問題です。普通に泳いでいるだけだから止める理由が無い。プール施設でスイミングを行うことは罪にならない!!!

 


本当にただ後ろを泳ぎ続けるだけで満足してしまうので監視員としても取り締まる言い分がなく、結果としてしばらく放置することになったという状況が続きました。
何度か目撃されて監視員内で情報共有後、「やっぱり止めた方がいいよな…」という判断が下り最終的にはストップが掛かりましたが、迷惑行為の判断基準ギリギリを攻める手は見事の一言です。

 

 

特に凄いのはその水泳能力です。
夜のプールに泳ぎに来る女性は競泳系のガチな人が多いのですが、スイミングおじさんは彼女達を難なく水中ストーキングをしていました。
時には追いかける相手を切り替えて、おかわりストーキングまで行っていた始末。スピードも持久力も半端じゃありません。


私も昔はスイミングスクールに通っていたので泳ぎには少し自信があったのですが、スイミングおじさんの水泳能力には度肝を抜かれました。私なんか相手にならないほど水中強者で、ほんとマジで変態にしとくのがもったいない。

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・Sランクおじさん
とある夏の日、バイト先に向かったらプール施設にパトカーが数台止まっていました。
ついに変態おじさんが警察に捕まったのです。

 

急いで職場に入り実情を聞いてみると、どうやら被害者はいないとのこと。
プールからちょっと離れたベンチで変態おじさんが一人で勝手に気持ち良くなっており、ついに果てたタイミングで監視員に確保されたという話。昂り過ぎちゃったねぇ。
流石にここまでされると警察を呼ぶことになり、施設の前にパトカーが集まっていたようです。

 

 

私のいたプールはトレーニングジムなども併設されている割と真面目な施設だったので、これまで警察沙汰はあまり関わりがありませんでした。
既存の変態おじさんもマジでヤバい一歩を踏み越えないようにしている節があった為、監視員メンバーの動揺も大きかったと覚えています。

 

 

監視員の中でつけられた名前はSランクおじさん。既存の枠をぶち抜いた最高評価です。
別に今まで変態おじさんのランク付けをしていた訳でもないのに、“Sランク”と言えばあの日のおじさんという認識が監視員内に一発で広まりました。
「変態おじさんは法を破らない」という習性がここで破られたわけですが、女性に対する直接的な行為は行わず一人で完結した事で、変態おじさんの矜持といったモノを魅せつけられたのです。

 

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以上が今でも頭から離れない個性的な変態おじさんでした。
他にも何人かいたのですが、流石にちょっと忘れてしまいましたね。5年前にちゃんとメモ取っとけばよかった。

 

 

 

プール監視員というバイトは一見楽な仕事ですが、上記のように変態を相手することも多くなります。
男女にかかわらず物怖じしない性格で、変態を見た時に恐怖よりも笑いが来る人が仕事に向いているでしょう。
水泳に自信があり、立ってジッとしていることに不満がなく、変態耐性に自信のあるという方はプール監視員のバイトがオススメです。
絶対に面白いので暇で金欠なら是非やりましょう!!