こういう日もあった

無職は激怒した。必ず、かの会社の王を除かなければと決意した。
無職には社会がわからぬ。無職は、実家に寄生する脛かじりである。

酒に溺れ、留年した大学生達と遊んで暮らして来た。
けれども金と税金の話に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 

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親譲りの無鉄砲で社会人になってから損ばかりしている。
新卒で入った会社を入社一年で飛び降りて、一年半ほど体を休ませたことがある。なぜそんな無暗をしたと聞く人があるかもしれぬ。別段深い理由でもない。新卒で入ったブラック企業に対して愚痴っていると、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りることは出来まい。弱虫社畜やーい。と囃したからである。

 

 

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吾輩はカスである。職はなくなった。
どこで道を間違えたのかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめしたハローワークでニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで初めて公務員というものを見た。しかもあとで聞くとそれはハロワ職員という人間中で一番労働に厳しい種族であったそうだ。このハロワ職員というのは時々我々を捕まえて働かせるという話である。しかしその当時は次の就職先という考もなかったから別段恐ろしいとも思わなかった。ただ再就職セミナーに参加させられてスーと失業手当を受け取った時何だかフワフワした感じがあったばかりである。

 

 

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「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。
さらば天より人を生ずるには、万人は万人みな働き、生まれながら太い実家の施しなく、万物の霊たる身と心を持って天地の間にあるサラリーを資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いにマウント取らずしておのおの自立せし姿でこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今、広くこの人間社会を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、失業する人あり、ニートなる人あり、留年するものあり、休学するものありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるはなんぞや。

 

 

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無職の時はずっとこんなこと考えてた