ニート殺しの呪詛

私がニートをしていた時の話を書こうと思う。

 

 

前職を辞めた後、フラフラと遊び呆けていた私は自由そのものであった。
漫画読んでアニメ見てゲームして映画見て毎日を過ごすのは快適であり、週に2‐3回ちょっとセンチメンタルになる以外は問題のない日々だったと記憶している。

 

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ある日、暇つぶしに本屋に立ち寄った。
この時期の私は本屋で興味のない本をあえて立ち読みするという娯楽にハマっており、「おにぎらずレシピ本」「マインドフルネス健康法」「起業の教科書」みたいな本を読み漁っていた。
今から考えると何やってたんだろう。暇すぎるだろ。

 

 

さぁて今日も立ち読みだ。まずは香ばしさ安定の自己啓発棚か、それともファッション棚でイケてるオヤジの高級スーツ雑誌を攻めるか、はたまたバイクや車の乗り物棚か…?
みたいな感じで興味のない本を探していると、平積みされた一冊の本がふと目に留まった。

 

名前はハッキリと覚えていないのだが、「努力を続けられない人が読む本」みたいなタイトルだったと思う。
私はその本を手に取った。

 

 

くどいようだが当時の私はニートであった。
仕事も続かなければ趣味も大したものは続けておらず、転職活動もちょっと“休憩”していたような状態だった。
まさに努力の続けられない人そのものである。

 

努力が続いていない自覚があったので、「努力が続けられない人が読む本」には強烈な興味を持った。
もしかするとこれを読めば人生上手くいくのでは!?という期待で胸が膨らんだのだ。

 

久しぶりに好奇心から本に手を伸ばし、「努力が続けられない人が読む本」の1ページ目を開くと、見開きでこう書いてあった。

 

この本を手に取ったあなた!まずはこの本を毎日2ページ読む努力をしなさい!そうすれば本を読み終えることができます!

 

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
っと心の中で叫びながら本を閉じ、平棚に置いて本屋を出て自転車に乗って家に帰った。一目散に帰った。逃げた。

 

見開き1ページ目から放たれる直球ストレートの正論はニートの心を折るには十分な威力であった。
そんな当たり前のこと突然言うなよ。心臓がびっくりしちゃうだろ。

 

あの時は本当にめちゃくちゃ怖かった。あの見開き1ページの文章はニートを殺す呪詛なんじゃないかと今でも思っている。それくらいクリーンヒットした。

 

 

 

ニート時代で一番怖かった思い出はあの本だったかもしれない。
完全にトラウマなので、今でもたまに思い出して泣きそうになる。